柿農家の春しごと

冬の寒さをじっと耐えてきた植物たちが一斉に芽吹く春、当農園の「柿」の樹もまた同じく活動を始めます。

萌芽期(2020/3/29撮影)

新芽が出始めてから約1ヶ月程で蕾が見えてきます。

展葉期(2020/4/16撮影)

この時期に大切な作業が「摘蕾(てきらい)」という柿の蕾を選抜する作業です。
一つの枝に5~7つの蕾が付きますが「形」「大きさ」「角度」「着果位置」から判断して1つに絞り、残りはすべて落としてしまいます。細い枝や短い枝は全て取り除いてしまうこともあります。
具体的に言うと
形⇒ヘタが変形せず綺麗な四角形になっているもの
大きさ⇒ヘタが大きいもの(ヘタスキ果になりにくいため)
角度⇒横向き~下向きのもの(上向きを残すと日焼け果になる可能性が高いため)
着果位置⇒中央~やや先端にあるもの(大玉になりやすい)
これらの条件に合う蕾を瞬時に判断し選抜していきます。
柿にとって一世一代の「選抜総選挙」です!

元々あった蕾の数の約80%を落としてしまう計算になります。
とても勿体ないように思いますが、残された蕾にたっぷり栄養を行き渡らせることができ、大きくてコクのある富有柿にすることが出来るのです。

開花直前(2020/5/11撮影)
開花(2020/5/14撮影)

この摘蕾作業はその名通り花が咲く前に行います。
植物にとって「花を咲かせる」という行為は1年で最もエネルギーを使う生命行動であるため大量の養分を消費します。
そのため如何に開花前の段階で今年成らせる果実の数を絞り、栄養分を集中させることが出来るか、が美味しい柿づくりをする上で大きなポイントになります。

実際の作業様子

蕾が見えてから花が咲くまで期間が短いので毎年5月上旬~中旬にかけ集中しての作業になります。
ゴールデンウィークの時期は毎日柿の蕾とにらめっこなので正直気が狂いそうになります。(笑)

開花後は摘蕾作業での見落とした果実を落とす「摘果」作業になります。
当農園では摘蕾作業でほぼ今年の着果量を決めてしまうので摘果作業は軽くこなす程度になります。

これから梅雨~夏にかけて虫・病気との闘いになります。11月の収穫まで気を抜けない日々が続きますが今年も「うまい!」と言ってもらえるような柿を作れるよう頑張って参ります。

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