野菜の味を決める3要素

こんにちは、市川農園こせがれです。(2018.8.3)
今回は私の農業バイブル本を紹介します。
2年ほど前に職場の先輩に貸りた「小さくて強い農業をつくる(久松達央 著)」
を読んだ事がきっかけで自分が目指す農業が固まりました。
本書の中で述べている「美味しさを決める要素」「顔が見える関係の距離」「コミュニケーションの重要性」が今の私が目指す農業経営の土台になっています。
今回はその中でも「美味しさを決める要素」について掘り下げていきます。
◆野菜の美味しさを決めるのは栽培方法じゃない◆
久松さんは著書の中で野菜の美味しさを決めるのは、
【旬】(=栽培の時期)
【品種】
【鮮度】
の3要素が圧倒的で、栽培方法の違いなんて微々たるものだと仰っています。
【旬】
まず「旬」という言葉を見た際にパッと思い浮かんだのがほうれん草です。
ほうれん草は冬の野菜ですが、夏にも北海道産や高原産地の物が出回っています。
しかし、夏のほうれん草は冬のほうれん草と違って美味しくないなあと感じます。
葉物野菜全般的に言えることですが、冬の寒さに耐えながらじっくりと成長することで甘みと旨みを蓄えるから美味しくなるのです。
正に「旬」が関係しています。
【品種】
続いて「品種」について。日本の野菜の品種は多種多様で奥が深いです。
トマトで例えると分かりやすいですが、一番有名な品種が「桃太郎」です。
その他にも「桃太郎ゴールド」「麗夏」「麗容」「りん果」etc… 数え切れない種類の品種があります。(日本の種苗業界の努力の賜物ですね。)
長年、日本人の好みに合うように多くの野菜は品種改良がされてきました。品種改良によって変わったのは味だけだと思いがちですが、実は味以外にも様々な面が改良されています。
・栽培性(病気に強い、沢山穫れる、収穫時期が揃う)
・流通性(形が揃っている、長期の輸送に耐える)
・機能性(体に良いとされるリコピンやβカロテンなどの機能性成分を多く含む)
スーパーの野菜コーナーに行くと真っ直ぐに揃ったきゅうり、形の揃ったトマト、色鮮やかな人参など並んでいますが、全て品種改良された野菜たちなのです。
【鮮度】
最後に「鮮度」、野菜は畑で収穫された後も自ら呼吸をしながら生きています。
呼吸は体内の糖やアミノ酸などの栄養成分を分解してエネルギー代謝をしているので、野菜の旨味である栄養成分を損なわないためには、いかに呼吸を抑えるかが重要です。
特に呼吸が激しいトウモロコシや枝豆は鮮度の違いで味が大きく変わります。
一度、畑で穫れたてのものを食べるとスーパーのものは食べられないくらい味が違います。
ちゃんとした農家・流通業者・スーパーなどの小売り業者は一体となって以下のような鮮度を保つ努力をしています。(コールドチェーンと呼んだりもします)
・収穫時間帯の調整→呼吸量が少ない早朝または日没後に収穫する
・収穫後の予冷処理→収穫後すぐに3~5℃の冷蔵室に入れる
・鮮度保持包装の使用→呼吸をコントールできる資材でパックする
通常、収穫されてからスーパーの店頭に並ぶまで4~5日はかかります。(産地から直送している場合は1~2日で店頭に並ぶこともありますが)
個人的には3要素の中で「鮮度」が最も美味しさを決める要素だと考えています。
農家から直接野菜を購入するメリットは「鮮度」の観点からだけでも十分あると思います。
◆市川農園ではどうしているか◆
市川農園では、この3要素の重要性を噛み締めた上で以下の事を実践しています。
一つは、季節ごとに合った品種をいくつか栽培してみてどの品種が美味しいかを自分自身で確かめたり、お客さんに食べてもらい研究しています。
もう一つは、住宅地の中にあるメリットを生かして、お客さんに気軽に畑に来てもらいその場で穫れたての野菜や果物を食べてもらって味を確かめてから購入してもらうサービスを行っています。
次回は「栽培方法についての考え」を書きたいと思います。

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