はじめに

海老名は相模川沿いの豊かな大地を利用した農業の盛んな土地でした。昔は多くの農家がいて、柿や梨、桃を栽培している農家もたくさんいました。

しかし、都市化の波が海老名にもやってきて次第にやめてしまう方が増え、つい最近も海老名南部の農家さんが柿づくりをやめてしまいました。

当園も都市化の波、後継ぎ問題等、農家を悩ます課題がありましたが、住宅地の中にある貴重な農地を祖母から引き継ぎ、農業を継続しています。

大きな果樹園ではありませんが、柿の樹1本1本を大切に管理して生産をしています。販売している柿は主に富有柿です。早取りをせず甘さと旨味が乗るまで樹の上に成らせてから収穫した「コクのある富有柿」をぜひご賞味ください。

《柿栽培の歴史 》

栽培している柿は曾祖父と祖父が植えたものになります。柿好きだった曾祖父が祖父と相談してその当時期待の品種であった「富有」を植えようと決めたそうです。
柿は樹齢が経つにつれて味が濃厚になります。現在樹齢60年を超えており、大変美味しい柿が毎年実ります。
栽培技術・樹の成熟も相まって、2018年度JAさがみ海老名ふれあい農業まつりの農産物品評会では最優秀賞を頂きました。

《栽培している品種》

富有(ふゆう)
明治時代に岐阜県で誕生した完全甘柿で、現在最も多く生産されている品種です。数ある品種の中でも特に果肉の食感が良く、糖度が高いので「柿の王様」と呼ばれています。収穫したてのパリッと感を楽しむのも良し、少し置いてトロッとした食感を楽しむのも良し。弊園の主力品種です。

禅師丸(ぜんじまる)
鎌倉時代に相模の国柿生村(現神奈川県川崎市麻生区)の星宿山王禅寺の山中で発見された言われています。花粉が多いため弊園では富有の花粉樹として植えています。

西村早生(にしむらわせ)
滋賀県の柿園で偶然見つかった不完全甘柿で、 サクサクした食感があり種が多く入ると甘くなり、種が少ないと渋みが残る特性があります。
そして果肉に「ゴマ」という黒っぽい模様が入るのが大きな特徴。これは渋みが抜けて甘くなったサインで「ゴマ柿」と呼ばれることもあります。
弊園には1本しかない貴重な品種ですが毎年大きな実が成り、楽しませてくれます。

《市川農園の柿作り ~一年の歩み~》

~冬~
  剪定:1年を通じ最も重要な作業。 大きく美味しい柿を作る為、無駄な枝
     を切り樹全体に太陽光が入り、光合成が充分に行われるような樹形
     を作ります。
粗皮削り: 樹の皮の下に隠れてる病害虫を退治するために、木の表面の粗皮を
     鎌で剥がして取り除きます。最近は高圧洗浄機(ケルヒャー)を使
     って楽に剝がす方法を見つけ、これまで一番嫌だった作業が好きな
     作業に変わりました。

~春~
摘蕾: 4月下旬~5月中旬にかけて余分な蕾を落とす作業です。蕾の向きや、
   角度、大きさを見ながら園主のお眼鏡にかなった蕾だけを残し、他は
   全て落とします。その結果、残した蕾に栄養が集中し、大きくて旨味
   のある果実が出来ます。
草刈り:5月を過ぎると畑一面に雑草が茂ります。弊園では除草剤を使わず草
    刈り機でまめに刈り、風通しを良くします。
消毒:柿には様々な病気・害虫がいます。その病害虫から守るために最低限の
   農薬を使います。最近はカメムシ被害が多く悩まされています。

~夏~
摘果:摘蕾作業で取りこぼした日当たりの悪い実や形の悪いもの、虫が食べた
   ものを摘果していきます。この時期はやぶ蚊との闘い。蚊取り線香が欠か
   せません。
草刈り:真夏は刈っても刈っても草がすぐに生えてきます。10日おきぐらいに
    汗だくになりながら草を刈ります。しんどいです…
消毒:月1回ペースで消毒を行います。虫の活動が活発になる夕方に作業。
   農薬を減らすために薬の種類や防除タイミングの工夫がとても重要です。

~秋~
葉かき:収穫の半月前ほどに果実の周りにある葉を摘むことで陽の光が当たる
    ように着色がしっかり進むようにします。葉は果実に養分を送る重要な
    役割を担っているので取り過ぎは厳禁。最低限にします。
収穫: 通常、店頭に並ぶ物は少し未熟なものを収穫しますが弊園では 早取りを
   せず、甘さと旨味が乗るまで樹の上で成らせてから収穫します。

このように一年を通して美味しい柿になるように手間暇をかけ、最後は柿の実一個一個目視で樹上完熟したのを確認して収穫しています。

おわりに
祖父亡き後、一人で柿畑を守ってきたおばあちゃん。小さい頃からよく面倒を見てくれて大きくなったら一緒に仕事がしたいと思っていました。その願いが叶い現在、二人三脚で柿づくりを行っています。私とおばあちゃんが丹精込めて作った柿を是非ご賞味ください。